核酸サプリの効能~乳がんに効くは根拠なし~核酸医療との違い

当たり前だけど核酸サプリで乳がんが治るわけではない

前回、進行性の乳がんにかかった知人のA子さんが、病院での標準治療を止め、核酸サプリを飲んでいるという話をしました。

乳がんの治療を止めて核酸サプリを飲んでいる知人の話

A子さんは「自分は病院での治療を止めて、核酸サプリを飲み、とても元気になった。だから、あなたも飲んだ方がいい」

と言って、私の母にも強く勧めてきます。

核酸サプリはドラッグストアでも普通に売れていますね。

もちろん、A子さんが勧めてくるのは、ドラッグストアで売っているようなリーズナブルな商品ではありません。

1ヶ月分が1万円のややお高いサプリです。話をよくよく聞いてみるとマルチ関連でした。

まあ、マルチ商法に関しては、この際少し置いておくとして、「核酸サプリ」について少し調べてみました。

そもそも「核酸」とはDNAとRNAの総称のことです。

DNAやRNAについては高校の生物の授業でみんな習いましたね。ワトソンとクリックが発見したとか、二重螺旋とか、生物の細胞の核の中にある遺伝情報を持った物質とか。そんな話でした。

ところで核酸サプリの原料はサケの白子です。

白子とは精巣のことです。精巣は精子を作る元ですから核酸がいっぱいあるのです。

サケの白子は高蛋白で栄養価も高く、食材として優等生です。体にとって悪いものではなりません。

しかし、サケの白子(核酸)を食べたからと言って、自分のDNAやRNAを修復したり、がんの治療に効果があるのでしょうか。

常識的に考えればありえません。

口から経口摂取したものは胃で消化されるだけです。サケの白子、あるいはそれを凝縮したサプリを飲んだところで、肉や卵を食べることとなんら変わりはありません。

ホルモン焼きを食べたからと言って、成長ホルモンが出ないのと同じです。成長ホルモンを人工的に出させるためにはhGH(ヒト成長ホルモン)を注射しなければいけないのです。

核酸についても同じです。

核酸医療におけるがん治療と核酸サプリはまったくの別物

医療の進歩は目覚ましい。

現在、乳がんの先端治療のひとつに「核酸医療」というのがあります。

私は学校で習った生物レベルの知識しかありません。しかし、上の記事を読めば、核酸医療の何たるかはよくわかります。

人間の体は死ぬまで細胞分裂を繰り返して、生命を維持しています。

DNAを複製する時に、いったんRNAに転写して、分裂先のDNAにコピーする。これを繰り返して人は生き続けているのです。

核酸医療のポイントはRNAにあります。

癌細胞のRNAを狙い撃ちにして、転写をできないようにします。もし、これが可能ならば、がん細胞の増殖は止まることになります。

これはかなり高度な最先端医療であって、ノーベル賞級の研究のようです。

当たり前ですが、このことと市販されている「核酸サプリを飲む」という行為が同じなわけありません。

上の国立がん研究センターの記事をもう少し丁寧に読むと以下のように書かれています。

核酸医薬は、がんに関連するRNAの生成を阻害することで治療効果を発揮します。異常な遺伝子の働きを抑制し、副作用も少なく、がんを根本的に治癒する治療薬として期待が膨らみます。しかし、核酸医薬は生体内で容易に分解されてしまう性質があるため、運搬方法が課題とされてきました。

国立がん研究センターは、2008年に乳がんの治療抵抗性に関わるRPN2遺伝子を発見しており、乳がん細胞などでRPN2遺伝子が強く働くと、乳がん細胞は抗がん剤を細胞外に排出して抗がん剤耐性を獲得することを突き止めています。さらに、RPN2遺伝子の発現を減らす働きのあるsiRNAをがん細胞に入れることで、抗がん剤耐性の性質や増殖が抑えられることもわかってきました。

しかし、siRNAはそのままの状態では細胞内に取り込まれません。そのため、分解されないようにがん細胞に効率よく薬剤を送り込む方法が必要です。そこで、国立がん研究センターは国内企業と共同で、核酸医薬デリバリー技術を使ってRPN2siRNA製剤を開発しました。

特殊な加工によってRPN2siRNA製剤は生体内で分解されにくくなって、細胞内への取り込みが促進されるようになりました。

今回の治験は、体表から触知できる局所腫瘤のある、治療抵抗性乳がんの患者さんが対象です。RPN2siRNA製剤を皮下の腫瘤に局所投与し安全性と忍容性の評価を行うとともに、局所投与法における推奨用量が検討されます。

核酸は体内に入るとすぐ分解されてしまいます。だから特殊な製剤を作ったのです。そして、それを腫瘍に直接注射する方法がとられています。

現在、世界中で核酸医療による「がん治療」の研究はされています。しかし、まだ臨床段階で承認されていません。

乳がん治療用核酸医薬、「世界初承認」への道

私達が、核酸医療を受けられるようになるまでには10年以上はかかると思います。

乳がんの治療を止めて核酸サプリを飲んでも、乳がんは治りません。しかし、A子さんは「乳がんが治った」と思い込んでいます。

いや、思い込んでいるだけでなく事実、体調がすこぶるいいのです。

これはいったいどういう事でしょうか。

もちろん、これにも科学的な理由があるのです。

次は乳がんも治すプラセボ効果!?「病は気から」は真実かです。

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